東京という地に住みながら星を見ようとした場合,しかもまじめに見ようとした場合,街の明かりを避けるために大遠征をしなければならない.車の免許を持っていないというのはこういう時に大変困ったことになるのだった.しかしだからといって,やはり免許を取ろうとは思わないのだけど.
2週間前くらいから東京にいらっしゃる先輩方を頼りにあれこれと画策したのだけど,結局どうするかを決めたのは出発約2日前.車は先輩の弟さんを頼りにし,そのため人数も限られたものとなってしまい,誘いながら断ってしまった友人に申し訳なく思いつつも,車とドライバーが見つかって一安心.いいように使われている弟さんの立場は….
こうなるとあと心配なのは天気と流れるかどうかということ.流れるかどうかは水物だから,そこそこ流れてくれるといいな,ぐらいの気楽な気持ちで.しかし天気は…11月に入ってからというもの曇った日を思い出せないほど晴れ続き.ここまでいいと,「当日はだめなんじゃ…」と,なぜかマイナス思考となってしまう.実際数日前には「雨」の予報が.「ほれ見ろ」と思っていたのも,日ごろの行いがいいからか予報は早まり,前日に雨.かすみ気味だった空もきれいになり,何から何まで直前になってうまくいっている.予定調和と言うやつだね.
ということで,きっちりと夜型生活にリズムを合わせ,自分の身体も準備万端.
さて,夕方起きだし,電話をしながらシャワーを浴びるという暴挙に出ながら,まずは研究室へ.最新の気象状況を調べると,天気予報は軒並み晴れ,前線は通過したようで,こりゃ今夜は…笑いが止まらない.
途中で友達と待ち合わせ,もちろんちゃんとドーナッツも買って,集合場所の相模大野駅に到着.先輩の弟さんと初めて対面.かっこいい先輩とはまた違ったかっこ良さ,うらやましい兄弟だ.その弟さんの車,香川ナンバーでありながら寒冷地特別仕様,乗っているのは相模大野周辺…謎だ.
当初来られないと言われていた別の先輩も急遽,車でいらっしゃることに.定員の関係で断ったみんな,ますますごめんよ〜.その先輩の車,大阪ナンバー,あとは特に変わったことなし.
計6人,2台に分乗し,いざ出発!目指すは富士五湖の一つ,川口湖畔.
途中「談合坂SA」といういかにも怪しげな(しかし普通の)サービスエリアで休憩を入れ,河口湖近くの公園へ.高速道路の出口が混んでるのを見るに,やっぱりいっぱい人が来てるんだろうな…うわ〜,車だらけだぁ.
きっと新聞だか雑誌だかで「観測地ガイド」のようなものがあったんでしょう.なにも天文屋さんだけに開かれたイベントではないので,一般の方々がいらっしゃるのは一向に構わないのだが…しかし多すぎ.ケーブルTVのインタビューもやってて,僕らの集団もターゲットに.あの絵はどこかで使われたんだろうか.
車を降りて目に飛び込んできた夜空にはたくさんの星が輝いていて,冬の天の川までバッチリ.久しぶりに見たきれいな星空に,「すっげ〜」という言葉以外何も言えず,本当に幸せ.
公園内に陸上競技場を発見,柵を越え忍び込むと,都合良く東向きに椅子が並んでて,ここで観望をすることに決定.低空は東京の光が明るかったけど,地平線からの高度が高いところはそれほどでもなく,オッケーということで.
スーッ
「シュート!」…はっ,ついいつものくせが.願い事を3回言えば何とか,というのはよく聞く話だが,流れるととにかく「シュート!」と言ってしまう,習性とは恐ろしいものだ.
ヒュン
「シュート!南東,2等,痕あり,群」…素直に見られんかなぁ.普通の人のために解説すると,2等ってのは明るさ,痕っていうのは流れた後にモワっと煙のように残ってる光,群っていうのは流星群に属する流星(そうじゃないのは散在という)ってこと.
明るくて速い流星が多く,見ごたえ満点.流れるたびに遠くの方でも「ウオーッ」とか「キャー」(?)とか叫んでて,なかなか愉快.見えない方向に飛んでも「あぁ,流れたんだ」とわかってしまう.
約3時間の観望で「シュート!」と言うこと約100回.流星「雨」にはならなかったものの,一晩で一人で100個も見えるってのは,とても恵まれたこと.火球(きわめて明るい流星)も見えたし,大満足.マスコミの皆さん,「期待外れ」なんて言わないで下さいな.
きっと帰りは大渋滞になるぞ,との予想のもと,ちょっと早めに出発.社会人の方はこんな日でもちゃんと仕事はあるわけで,本当に頭が下がる思い.友達もちゃんと授業に出るらしい.大変だね.
僕自身はゼミの発表が木曜に控えてるんだけど,準備?え?何のことかな?
帰りも談合坂SAに寄って休憩.SAにしては美味かった味噌チャーシューラーメンを食べ,さぁ出発.ドライバーじゃない人の役目は,ドライバーが眠くならないように話しかけ,あるいはドライバーに気を使って少なくとも起きておくこと.案の定渋滞に巻き込まれながらも,無事に帰還.お疲れ様でした.
仕事も授業もない僕は下宿に帰って布団へもぐり,電話で起こされたのが20:30.
ゼミの準備〜!
また徹夜か….